持続性社会構築に向けた菌類きのこ資源活用

ごあいさつ

prof. maekawa

 菌類は、自然界のあらゆる分解者として、生態系の保全及び修復に重要な役割を果たしています。中でもきのこ類は倒木、落葉等の分解、ダイオキシン類などの難分解性環境汚染物質の浄化、樹木の生育促進等を担っています。さらに、シイタケ由来の抗がん剤レンチナンに代表されるように、免疫賦活性、抗酸化性、抗血液凝集性などの機能性成分を有し、人類の健康にも寄与しています。そのため、様々な産業分野において有望な遺伝資源として注目されています。しかし、私たちが認識している菌類種数は現存すると推定されている種数の僅か7%に過ぎず、未だその僅かしか活用されていないのが現状です。これは①当該研究領域における研究者の不足、②分類学同定の困難性、③菌類きのこが有する多様な生物機能に関する情報不足、等に起因しています。これらのことから、未知の菌類きのこ遺伝資源及びその生物機能の発掘が喫緊の課題です。
 本プログラムでは、国内最大級のきのこ類遺伝資源を保有する農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター(FMRC)を核とし、持続性社会の構築に不可欠である「環境保全」、「食料生産」、「健康増進」に貢献しうる菌類きのこ遺伝資源の発掘と多角的高度利用に関する研究を行うとともに、これらの研究を遂行できる人材を育成し、菌類きのこ遺伝資源の宝庫であるアジアおよび中南米の菌類きのこ資源科学に関する中核的教育研究拠点の形成を目指しています。